連載 医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・16
病院を標的としたランサムウェアによるサイバー攻撃—身代金要求への対応の法務と実務
鳥山 半六
1
,
増田 拓也
1
,
石﨑 海詩
1
1弁護士法人 色川法律事務所
pp.716-719
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211745
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■1 ランサムウェアによる病院へのサイバー攻撃
ランサムウェアとは,コンピュータに感染すると,データを暗号化したりシステムをロックしたりするなどして使用不能にし,元に戻すために身代金(ランサム)を要求する,不正なソフトウェアです.身代金は,暗号資産(いわゆる仮想通貨)で要求されることが多く★1,最近では,復旧のための身代金要求に加えて,身代金を支払わなければデータを公開すると脅す「二重恐喝」のケースが増加しています.
報道や病院自身の発表などによれば,国内の病院の被害事例としては,2017(平成29)年の福島県立医科大学附属病院の事例★2,2018(平成30)年10月の宇陀市立病院の事例★3,2021(令和3)年のつるぎ町立半田病院の事例★4などがあります.半田病院の事例では,復旧に約2億円を要する旨の報道がなされており★5,同院の経営に大きな影響を生じさせ得る事態となっているようです★6.
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