連載 アーキテクチャー×マネジメント・32
医療福祉建築賞2016
山下 哲郎
1
1工学院大学建築学部建築学科
pp.576-581
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210523
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■はじめに
一般社団法人日本医療福祉建築協会は,厚生省(当時)の後援を得て,平成3(1991)年に「病院建築賞」を創設し,以後,平成7(1995)年の「医療福祉建築賞」への名称変更を経て,わが国の模範となるべき医療福祉建築の顕彰事業を続けてきた.他の建築賞と大きく異なる点は,建築として質が高いことに加え,利用者ならびに職員にとって快適で使い勝手が良いこと,を選考の基準としていることである.
本賞創設から26年目にあたる今年度は, 2012〜2014年度(3年間)に竣工した作品が選考の対象になる.応募作品の数は26点(うち病院15点,診療所2点,保健・福祉施設9点)で,昨年に比較して3つの分野ともに漸減している,という状況である.しかしながら力作が多く,建築賞については,以前に比べ全体の水準が上がってきた中で,また機能性の達成はある意味当然という状況での授賞であり,非常に高い水準での選定であった(表1).一方,とりわけ今年度の準賞それぞれは,その置かれている状況の中で,非常に意欲的で先駆的,かつ示唆に富む試みが行われた作品を選ぶことができた.そうした試みが敷衍化され,定着することによって,これからの医療・福祉建築の模範になるものと期待している.本稿では,このうちから,医療施設4作品について紹介したい.
なお,選考委員は昨年度と同様,池田俊也(国際医療福祉大学),石井敏(東北工業大学),鶴田惠子(聖隷クリストファー大学),松村正人(大成建設),鷲見圭司(足利赤十字病院),渡部和生(惟建築計画)と山下哲郎(工学院大学・筆者)の7名である.
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