連載 アーキテクチャー×マネジメント・89
おうちにかえろう。病院
長島 一道
1,2
,
御供 秀一郎
3
1株式会社ハル建築研究所
2国立大学法人筑波技術大学
3MTM Design
pp.474-479
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211693
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■「おうちにかえろう。病院」とは
東京都板橋区・練馬区を中心に2013年から在宅医療を行うやまと診療所などを運営する医療法人社団焔が,2021年4月に「おうちにかえろう。病院」を開設した.この病院の目的は在宅医療と一体となり地域を診て住民が最期まで自宅で暮らすのを支えることにある(図1).そこには患者の語りに基づく意思決定支援に必要な「自然で気軽なコミュニケーション」に「多様でオープンなみんなのひろば」が役立っている.「おうちにかえろう。」とは患者本人と家族が「よし,おうちにかえろう!」と思い起こす場面のことで,その舞台装置をこの病院は用意した.
それまでやまと診療所で診ていた在宅患者常時約1,200名のうち毎月5%前後が入院し,そのうち30〜40%(年間200〜400名)は自宅に戻れないまま最期を迎えている状況があった.在宅医療だけを提供していても法人の理念は達成できないという理由から病院づくりへの挑戦が始まった.
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