連載 ケースレポート
地域医療構想と病院・40
病院は人々の生活にどのように関わることができるのか
松田 晋哉
1
1産業医科大学公衆衛生学教室
pp.352-356
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211409
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■はじめに
COVID-19感染拡大に伴い,筆者の勤務する大学のある福岡県が緊急事態宣言の対象県となってしまったために,病院訪問ができない状況が続いている.そこで今回も前回に引き続き,これまでの報告事例をもとに,今後の病院経営の方向性について私見を述べることとしたい.
2020年12月13日,医学書院は「難局を乗り越える中小病院の経営戦略」というオンラインセミナーを開催した1).演者は神野正博氏(社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院理事長),太田圭洋氏(社会医療法人名古屋記念財団理事長),そして筆者の3名であった.このセミナーで神野氏は「With/Post/Nextコロナ時代の病院経営」というテーマで講演し,「病院の前後には生活がある」,「患者の生活に着目すれば病院が関与すべきことがたくさんある」ということを指摘された.石川県七尾市で常に先進的な取り組みを展開してきている神野氏のこの指摘の意味を,このセミナーの後も筆者は考え続けている.というのも,「病院の前後にある生活」を考えることは,高齢社会における病院の在り方を方向付ける基本的視点になると考えるからである.本稿ではこの神野氏の指摘を軸に,これまで訪問してきた病院の取り組みを整理し,今後のわが国の病院の在り方について論考する.
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