連載 助産師の疑問に答える! 実践的おっぱい講座 多角的な「胸」の知識・10【最終回】
助産師として乳がんにどのように関わっていけるのか
Satoko Fox
1
1ピンクリボン助産師アカデミー
pp.334-339
発行日 2025年8月25日
Published Date 2025/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134781680790040334
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はじめに
いよいよ,この連載も最終回を迎えました。私が「ピンクリボン助産師アカデミー」を立ち上げるきっかけとなったのは,大学病院勤務時代に数例経験した,進行した授乳期乳がんの症例でした。カルテには「助産師が乳腺炎と判断し,繰り返しマッサージを行っていた」と記されており,その記述に大きな衝撃を受けると同時に,深い憤りを感じたのを今でも覚えています。
その後,私自身が授乳中にしこりを何度も触れ,「たしかに区別が難しいのかも……」と実感したことや,39歳で授乳中に乳がんが見つかった患者さんとの出会いを通じて,「授乳期の乳がんを考える」というイベントを開催するに至りました。
その際,助産師さんが乳がんについて学ぶ機会はまだまだ限られていることや,現場では視触診のみで判断しなくてはならない難しさも理解するようになりました。そうした課題意識から,助産師が継続的に乳がんについて学び,情報を共有できる場として,「ピンクリボン助産師アカデミー」を立ち上げました。これまで3年以上にわたり,延べ371名の助産師の方々に対して,教育と啓発活動を行ってきました。
とはいえ,乳がんに関わることは依然として助産師さんの業務の主流とは言い難く,関心を持たれていない方も多いですよね。そこで最終回の今回は,日々熱心に学びを深めている助産師の皆さんの声をもとに,「助産師として乳がんにどう関わっていけるのか」についてまとめていこうと思います。

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