増刊号特集 2 若手研究者が描く未来
人々のあたりまえの生活と健康を守るために研究者ができること
鳥本 靖子
1
1国際医療福祉大学小田原保健医療学部
pp.356-360
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201402
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身近な経験を通じて感じた「制度」への疑問
介護している家族への心身の負担は,結果的に,家族が次の要介護者予備群になるのではないだろうか。私たち看護職者は,そうした家族の方々をハイリスク者として考えながら介護予防対策や心身の健康支援を積極的に行なう集団ではないだろうか─そんな思考の最初のきっかけは,身近な家族からだった。
98歳で亡くなった祖母は,介護が必要となってから自宅で5年間,実娘の私の母が世話をし,その後,特別養護老人ホームに入所した。「腰が痛い」「足がしびれる」「目まいがする」「眠れない」「イラつく」など,母の体調が不安定になるとともに愚痴も増えていくのを,複雑な気持ちで私は見ていた。祖母が入所した後も,週に1回は何かと施設に通い,時には呼び出されて医療機関受診への付き添いなどの忙しい生活は,母にとって「祖母のことが頭から離れない」状況であり,相当に負担であったのだろうと思う。
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