連載 遥かなる霞が関・2
医師の働き方改革は,うまくいくか?
佐藤 敏信
1
1久留米大学
pp.153-156
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211138
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なぜ今頃になって,このテーマを取り上げるのか,と疑問を持たれる読者もおられると思う.正直に申し上げれば,私はこの改革は進むはずがないと思っていた.あまりにも問題が複雑すぎる上に,解決の方策が見当たらないからだ.ところが,時間がたっても厚生労働省の意欲が衰えないことに気づいた.そうだとするなら,やはり書いておくべきなのだろう.そもそも論をすると,医療機関と医師がいつかはこの問題に取り組み,解決へ向けて努力をしなければならないということは間違いない.むしろ遅すぎたくらいかもしれない.しかし,それが今この時でなければならないのか,仮に今だとして,真の解決への下準備が十分できた上での取り組みなのかについては,いささか疑問がある.厚生労働省や関係の会議が問題点を列挙するのはいいが,対案や解決案と示されているものの多くは吟味・検討が十分ではないように思える.
いずれにしても,多くの医療機関が,医師の働き方改革の影響を深刻に受け止めていることだろう.現状でさえ医師確保が難しいところに,この動きである.
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