研究
救急・集中治療領域の終末期において代理意思決定支援を行う救急集中治療医の倫理的ジレンマ
市川 由佳
1
,
二井谷 真由美
2
,
林 容子
3
,
志馬 伸朗
4
,
片岡 健
5
1広島大学医学部保健学科看護学専攻
2広島大学大学院医系科学研究科成人健康学
3広島大学病院看護部
4広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学
5元・広島大学大学院医系科学研究科成人健康学
pp.57-63
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211117
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要旨
救急・集中治療領域で代理意思決定支援を行う救急集中治療医が感じている倫理的ジレンマの内容と,期待する解決策を明らかにすることを目的に本研究を実施した.救命救急センターに専従する救急集中治療医9名を対象に,インタビューガイドに基づく半構成的面接を行った.その結果,倫理的ジレンマとして「自身の価値観との対立から生じるジレンマ」「救急科内の医師間でのジレンマ」「他科の医師との関わりの中で生じるジレンマ」「方針決定の過程の中で生じるジレンマ」「方針決定した後に生じるジレンマ」「家族との関わりの中で生じるジレンマ」「上下関係から生じるジレンマ」「地域医療との関わりの中で生じるジレンマ」「社会情勢に対するジレンマ」の9つのカテゴリーが抽出された.さらに,その解決策として「患者本人の事前意思が確認できること」「臨床倫理委員会などの第三者委員会の設置」「個人の知識・技術を向上させること」「他職種との連携」「救急科内での振り返り・話し合いの場を設けること」「法整備」などを期待していることが明らかになった.
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