連載 アーキテクチャー×マネジメント・59
社会医療法人母恋 天使病院
石橋 達勇
1
1北海学園大学工学部建築学科
pp.792-796
発行日 2019年11月1日
Published Date 2019/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211070
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■はじめに:天使病院の特徴
札幌市東区に位置する天使病院は,1911(明治44)年に聖母会の7人のシスターにより内科診療を開始し1),今年で108年を迎える由緒ある医療施設である(図1).経営主体は,日鋼記念病院(室蘭市)など複数の医療福祉施設を運営している社会医療法人母恋である.同法人は,2003年から事業継承・経営統合により天使病院の運営を行うこととなり,2007年の名称変更の後,救急医療,へき地医療や周産期医療など,特に地域で必要な医療の提供を担うことにより社会医療法人化が認められたという経緯がある1).
さて,この天使病院において特に重視している医療機能は,周産期医療や小児科医療である.歴史的な経緯に加えて,2001年に地域周産期母子医療センターの認定を受けていることからも,それが分かる.ただし,西村光弘院長が自負しているように,「生まれてから老いるまで切れ目のない医療を提供」1)していることも同病院の特徴として挙げられ,そのため内科/外科系診療科も非常に充実している.ちなみに,平均在院日数は11.7日,手術室5室による年間手術実施件数は1,702件である(いずれも2018年度実績).つまり,周産期や小児期など人生の一時期だけではなく,地域で生活する人々と継続的な関わりを持つ意欲を持って医療に取り組んでいると言え,この姿勢が以下に述べる院内の部門構成からも読み取れる.
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