特集 地域づくりの核としての病院
巻頭言
伊関 友伸
1
1城西大学経営学部
pp.495
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210271
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現在,わが国は世界でも例を見ない少子化・高齢化・人口減少社会に突入している.現状のままで何もしない場合,高齢化が進むとともに,人口の減少の幅が年々大きくなり2008年に1億2,808万人いた人口が,2110年には4,286万人にまで減少する.人口減,少子化,高齢化の進行により,経済規模の縮小,国民の生活水準の低下,地域の消滅など,日本という国そのものが危機に直面する可能性が高い.
少子化・高齢化・人口減少を解決していくために,病院の担う役割は考える以上に大きい.何よりも重要なのは「地域の健康を支え,地域の崩壊を食い止める」という役割である.医療のない地域では,人は安心して住むことができず,移住せざるを得なくなる.また,「地域の雇用を支える」という面もある.医療は介護とともに地方において雇用を伸ばしている唯一の産業である.さらに言えば,地方の病院は,都市と地方の税の格差を埋める再分配機能を有している.
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