連載 アーキテクチャー×マネジメント・10
医療法人共和会 小倉リハビリテーション病院
境野 健太郎
1
1工学院大学建築学部建築学科
pp.708-713
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209934
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■病院紹介
小倉リハビリテーション病院の前身である南小倉病院は,精神神経科単科の病院として1962年に開設された.精神科病床を廃して以降は診療の中心を高齢者医療に移し,当時の厚生省モデル事業として老人保健施設を開設する(1987年)など,先駆的な取り組みを重ねてきた.建物の老朽化や医療体制の陳旧化に対応するため,2001年12月に開設された小倉リハビリテーション病院は,組織の再編を行いながら,回復期リハビリテーション病院(以下,回復期リハ病院)として,寝たきりの予防と家庭復帰を目的に運営されている.
回復期リハ病院の患者は,新たに発症した自身の病や障害に対して,心身ともに負担のある状態で入院してくる.自立した在宅生活へ円滑な復帰を目指すためには,必要に応じた適切かつ確実なリハビリテーションにより機能回復を図るとともに,障害を受け入れ,在宅生活へのその人なりの納得や自信などの心理的な立て直しが不可欠である.一般に発症後1カ月前後で急性期病院から入院し,在院期間の制約から約3カ月で退院する回復期リハ病院では,患者が抱える深い絶望や苦悩に対し,生活全体をリハビリテートするための機能回復と障害受容のための心理的な支援がしやすい環境整備が求められている.
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