特集 自治体病院改革は成功するのか
[事例]自治体病院の経営改革
中東遠総合医療センターの現況と課題—掛川市立総合病院と袋井市立袋井市民病院との統合新病院
名倉 英一
1
1掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センター
pp.653-659
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209921
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
●掛川市立総合病院と袋井市立袋井市民病院は医師不足のため診療機能低下と経営悪化をきたし,建て直しの協議の中で派遣大学の意向を受けて統合の道を選択し,平成25年5月1日掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センターとして新規開院した.
●開院初年度(平成25年度)の入院患者数・外来患者数は旧2病院の実績を上回り,さらに平成26年度も前年度の数値をほとんどすべての月で上回り,年間平均入院患者数425人(病床利用率85.0%)と診療実績を順調に伸ばしている.開院後,医師数も増加し,統合プロジェクトは診療実績では大成功と考えられる.
●掛川袋井の統合プロジェクトは,中規模病院の医療資源を集約し診療機能を強化した500床の基幹病院に再編するもので、急性期病床を350床削減した.二つの組織文化の融合や自治体からの適正な財政支援などの課題もあるが,今後は,医療の質の向上,企業体としての成功,そして地域医療構想を協議し,診療圏における各医療機関の機能の明確化と相互連携,および地域包括ケアシステムとの相補的連携の構築が求められる.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.