特集 「医師生涯教育」の場としての病院
「医師生涯教育」—わが病院の試み
岡部 保
1
,
鳥居 有人
1,2
,
石山 太朗
3
,
伊賀 六一
4
,
岡田 康男
5
,
柏原 貞夫
6
,
小坂 淳夫
7
Tamotsu OKABE
1
,
Arito TORII
1,2
,
Taro ISHIYAMA
3
,
Rokuichi IGA
4
,
Yasuo OKADA
5
,
Sadao KASHIHARA
6
,
Kiyowo KOSAKA
7
1国立立川病院
2中日友好病院
3国立泉北病院
4済生会中央病院
5姫路赤十字病院
6財団法人天理よろづ相談所病院
7重井医学研究所附属病院
pp.760-767
発行日 1987年9月1日
Published Date 1987/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209137
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客員医員制度とセミ・オーブン化を軸に—国立立川病院
はじめに
生涯教育は医学の領域においては開業医・勤務医とにかかわらず必須の問題となっている.近年,特にその必要性が強調されるのは,科学の進歩に伴う急速な医学の進歩・発展,これらを駆使した新しい検査法や治療についての医療技術の開発に関する医学情報の収集,更にこのようにして得た知識を日々自らの診療に有効・適切に活用するための修練の場が要求されるからである.また,社会環境の変化は医療ニーズの変遷をもたらし,これらの状況にも適切に対応してゆかなければならない.医師一人一人が孤立してこれらの条件に順応してゆくことは至難のことと言わねばならない.
わが国の医療制度は,国民にとって容易に診療が受けられる状況にあり,多くの開業医師は毎日患者の診療に忙殺され,新しい医学知識の習得に十分な余裕を持つことが困難になっている.また,一方では大学医学部あるいは医科大学付属病院,大中総合病院においては分化した専門知識にとらわれすぎるあまり,疾患を人間全体像としてとらえることが疎かとなり,適確な医療を逸脱する一因となる欠点が生じたり,患者が開業医からの紹介で受診することが多いため,疾患の初期像についての経験に乏しく,したがって日常ありふれた疾患についての対応にも不十分な傾向がみられる.
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