時評
「町医者」小論
小野 重五郎
Jugoro ONO
pp.1063
発行日 1986年12月1日
Published Date 1986/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208972
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「町医者で診てもらっていたんだけど,どうも不安なものだから,設備のあるところで診てもらおうと思って.」病院勤めをしていると外来患者にしばしば聞かされるせりふである.筆者は内心穏やかでない.開業医の家庭で育ったせいもあろうが,今,市中の小さな病院に勤めていても自分もまた町医者にほかならないと思うからである.いつの頃から「町医者」はこんなにネガティブな意味合いで使われる言葉になったのだろうか.
「私は町医者という言葉,好きなんだけれども,私の好みかな,高野長英というのは町医者精神にあふれていますよね.」(高橋磌一氏の発言.日本探訪16,「国学と洋学」,角川書店編)
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