いま開業はおもしろい
町医者談義―たてつぎ医者
永原 宏道
1
1永原診療会千本診療所
pp.924-926
発行日 1995年10月15日
Published Date 1995/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901647
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■開業医の本領は外来医療である
近ごろ,「在宅医療」がかしましい.でも,筆者は開業医の本領は外来医療だと思っている.筆者が開業医になったのは,いまから23年前.親から引き継いだ診療所は1913年創業で,代々産婦人科として近所の評判をとっていたが,筆者が内科に変えてしまった.しかし,ひたすら外来医療にいそしんできたことに変わりはない.
往診,筆者にとってそれはごく日常的なことでしかなかった.確かに当時の健康保険の往診料はひどく安かった.でも,そんなことはどうでもよかったというか,どうしようもなかったというか,往診は筆者にとって避けることのできないことだったし,避けたいとも思わなかった.子供のとき,爺さんの小さなダットサンに乗せてもらって往診に付いていくのが好きだった.暗くなると光る蛍光の文字盤が印象的で,後年自分が往診に行くようになり「開業医は往診に来てくれないのに……」とほめられることがあったが,それは合点のいかないお世辞だった.
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