新しい医療と厚生行政
レセプト様式簡素化の動き
厚生行政研究会
pp.764-765
発行日 1986年9月1日
Published Date 1986/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208908
- 有料閲覧
- 文献概要
現在,医療機関で使用されている診療報酬明細書(レセプト)の様式は,社保,国保,老人,退職者用等で合計22種類あるが,甲・乙別々なので全体では44種類ある.レセプトは手書きを前提にして作られているため電算化が進んできている現在,様々な問題が出てきている.パソコンと共に育った私たち若者にとって,このレセプトなるものは電算処理には適さない誠に不合理なものである.特に診療報酬の改正が行われた時,必ずといっていいくらいにレセプトの様式も変更されるため,電算化を行っている医療機関では1か月程度の短期間のうちにプログラム等の変更を行わなければならない.また月々の請求においても,プリントアウトする時に22種類の用紙をその都度取り替えなければならない.これは大変な手間であるし,電算化のメリットが生かされていない.しかし,レセプト様式が電算処理に適していないにもかかわらず,医療事務の電算化は急速に進行している.最近のレセプト請求状況を見てみると,支払基金の調べで全医療機関の19.1%,レセプト件数の35.6%が電算化されている(昭和60年5月診療分について).ここ数年の実績を片対数表で見ると,ほぼ直線的増加をしており,指数的傾向で普及していることが分かる(図).このままの速度が続くかは疑問だが,昭和65年前後には約半数の医療機関がレセプトを電算化することになる.従ってレセプトを電算処理に適したものに変えることは急務である.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.