巻頭言
近代医学の簡素化—おびただしい印刷物をどうするか
大島 研三
1
1日本大学
pp.639
発行日 1963年9月15日
Published Date 1963/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201242
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現代のように科学が急速に進歩しつつあるときには,人々は一面において科学の恩恵をうけつつも,他面また科学そのものから相当の被害をうけることになる。前者は余り意識せられないが,後者には頭を悩ますことは,例をあげれば近頃の交通機関の発達にも似ている。先日もかの有名なR.F.Roeb名誉教授が筆者を訪ねられて,話のうちに毎月とどけられる関係方面のjournalが3600あり,それでなお目のとどかぬ記載物があるが,日本ではこの点をどうしているかとの質問をうけたが,私は実は整理どころかspaceが足りなくて置場に困り果てていると頭をかいたら,氏はアメリカでも全く同じだと云つて笑つておられた。
何れにしても時代の進展に即して科学書や科学そのものの整理が,昔とは違う仕方で必要になつてきたと思う。1年毎に書斎のなか味を一新するのもよいであろうが,何しろ学問は連続しているので,切れ目がなく,また書物のみならず,頭のなかをどうするかがもつと重大な問題である。
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