寄稿 施設ケアと在宅ケア
今後の施設医療を考える—堀川病院における在宅療養活動10年の経験を踏まえて
井上 泰
1
Tooru INOUE
1
1堀川病院内科
pp.1021-1027
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208464
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理想と現実の間で
患者さんの生活現場を見るということは,大変勇気のいる行為である.こんなことなら,往診に来なければよかったと,内心絶句する時がどんなに多いことだろう.現場を見た結果,必然的に生じてくる医師としての社会的責任の重さに恐れおののくからである.私は,往診とは,医療従事者が,どうしても一度は通らねばならない修羅場であると考えている.
理想と現実の間で,未来を信じつつも,病いを担ってしまった患者さんの生活現場の深刻さを思う時,大きな危機感が私にはある.
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