グラフ
サナトリウムから,結核を含めた呼吸器,消化器疾患の専門病院へ—結核研究所附属病院
pp.829-834
発行日 1984年10月1日
Published Date 1984/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208413
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「結核患者を最後の一人まで面倒みるのが結核予防会の病院としての使命であり,そのためには古いサナトリウム形式の療養所を転換して,結核以外の患者にもハイレベルの医療を提供し,どんな合併症をもった結核患者にも対応できる病院,しかも厳しい医療経済の中でも生き残れる病院にしなければならない」と結核予防会結核研究所附属病院の木野院長は意欲を燃やしている.
結核は医療の進歩と国の対策の徹底で年々減少を続けており,死亡率は戦前最盛期の50分の1に,患者数もこの20年ほどの間に100万人から20万人と5分の1に減ってきている.この減り方があまりにも目覚ましいので,一般の人々,特に医師までが結核に対する関心を失いつつあるのは問題で,最近でも毎年新しく発病する結核患者は全国で6万人を超え,1年間に5,000人以上の人がこの病気で命を落としているのが実情である.さらに高齢層に結核多発年齢が移ってきているが,これは,BCG接種の普及した若年層からの発病は大幅に減ったが,BCGの恩恵を受けられないまま結核に感染してしまった現在ほぼ50歳以上の年齢層からの発病率はあまり下がらず,その結果相対的に結核は高齢層に偏在してきたという.患者が高齢化すれば合併症が増えるのは当然で,60歳以上の結核患者の半数以上が何らかの非結核性疾患を合併しており,その内容も多種多様である.
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