特集 結核医療と病院
結核療養所から胸部病院への転換
砂原 茂一
1
1国立療養所東京病院
pp.31-34
発行日 1966年3月1日
Published Date 1966/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202803
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1.療養所というもの
結核療養所から胸部病院への転換という命題には,いうまでもなく,前者が古く後者が新しいという了解がふくまれている。しかし同時に結核から胸部疾患へと,もう1つの療養所から病院へという2つの道筋が示唆されていることにも気づかないわけにはいかない。
結核療養所というコトバのほかに結核病院というコトバがあり,歴史的には後者の方が実は古いのである。療養所は1850年代にBrehmerによってはじめられたと考えていいが,すでにその前にイギリスにはRoyal Sea Bathing Hospital(1791) Royal Victoria Hospital for Consumption,Brompton Hospital for Consumption (1841)が存在していたのである。このうちBromptonHospitalなどは"for Consumption"という限定句を削除して,今日まで胸部疾患病院の典型として輝かしい存在をつづけているのである。
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