新 病院建築・80
房総のS病院の設計
池原 義郎
1
Yoshiro IKEHARA
1
1早稲田大学理工学部
pp.701-707
発行日 1984年8月1日
Published Date 1984/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208386
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はじめに
この私立の病院は,朝市と漁港で知られる外房の町に建てられた.町は港に接する魚市場から,丘陵にはさまれた大地の襞のような谷間に展開している.水辺に水平にのびた市場から続く家並は低く大地と平行している.近年2,3の高層ホテルやリゾートマンションも建ちはじめ,少しずつ街のスカイラインを変えつつあるが,街中を歩くとき,町の小さな隅々に漁師たちの生活の香りが肌につたわってくる.この病院は町の中に永く生き続け,成長を続けて,この町の市街地および郡部を含めた地域医療の拠点の役割を果たしている.
すでに,鉄筋コンクリート造3階建の病棟,薬局,リハビリテーションを含む中央施設を中枢として,10病棟に及ぶ建築群によって全体が構成されていたが,今回,木造の病棟群の老朽化に伴い,それらを整理して高層の病棟に集約することが私たちに依頼された.
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