特集 医療費抑制下における給与費対策
中小病院の給与の実態と医療費抑制策
岡本 隆一
1,2
Ryuichi OKAMOTO
1,2
1医療法人岡本病院
2社団法人京都私立病院協会
pp.210-213
発行日 1984年3月1日
Published Date 1984/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208253
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医療費抑制を前提とした筋違いの論議
最近医療費問題に関心を持つ人々の間で,医療費抑制下で病院はどうなるのか,どう運営すべきかが盛んに論じられている.しかし医療費抑制を大前提としてものを考えることは,筋違いではないかと私は思っている.これは余りにも臨調ペースに巻き込まれ過ぎているのではないか.国の財政の建て直しのために,国民はどこで節約すべきかを考えるとき,国民のためには何を優先すべきかという軸を忘れてはなるまい.
高い経済成長の中で日本は経済大国となったが,そのために働きぬいた多くの国民は,国民皆保険,国民皆年金の成立によって,ようやく最低の生活が保障されるようになり,国民みんながやっと明るく,楽しく暮せる時代への曙を迎えたのである.それもつかの間,もう財政再建のためには,医療も年金も犠牲にしなくてはならないというのでは,底辺に喘いで生きている人々にとって,余りにももの悲しいことではないだろうか.まず弱いところから攻めて行くといった臨調の方針に対して,医療人はそれをはね返して行くという姿勢を持つべきである.
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