定点観測
—岐阜県・白川村から—へき地中核病院とともに
石山 俊次
1
Shunji ISHIYAMA
1
1白川村国保診療所
pp.1070
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208201
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飛騨白川村診療所に赴任して4度目の冬が来た.赴任したのはちょうど「56豪雪」と呼ばれた大雪の年に当たっていて,最高積雪5m,冬季総積雪量27mという信じられないような豪雪の歓迎を受けた.その後2年間は割合おだやかな冬が続いてきている.来春には後輩にバトンタッチをして村を去ることになっており,なんとなく落ち着かない最後の冬である.「歓送の豪雪」があるかもしれない…….
大学卒業後,へき地の診療所へ行ったら「なんでも屋の医者」に徹しようと考え,2年間の県立病院での研修ではほとんどすべての科をローテイトした.毎週2〜3日は救急当直もした.ある程度は自信を持ってのへき地赴任であった.しかしながら,いざたった一人で診療を始めてみると,毎日,毎日「これでいいのか」と自問自答の繰り返しであった.毎日様々な疾患を前にして,すぐにでも生命にかかわるような例は別にしても,その経過を診ていると,「重大な疾患を見落としていないか」,「もっとよい治療法はないか」,「特殊な検査や処置が必要ではないか」などという疑問が常にある.1日40〜50人の外来患者であるが,少なくともそのうち10人はそんな患者であった.考えてみると研修医のころは各科で経験豊富な医師が指導医として疑問に答えてくれていたのである.
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