地方の病院から
へき地中核病院となって—愛知県厚生連足助病院
祖父江 吉助
1
1足助病院
pp.565
発行日 1978年7月1日
Published Date 1978/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206588
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受診の足に難儀する患者
国民皆保険下,都会と過疎地とでは医療を受けるのにも雲泥の差がある.過疎地の西三河地域でも,最近は林道の開発によりほとんどの家の庭先まで乗用車が入れるようになってきた.そして貧しいこの地方でも,一軒に一台は車をもっているようになった.だがその車はその家の働き手の通勤用なのであり,昼間は家にない.家族の足にはならないのである.
家族は主要道路を1日に3-4往復しかしないバスを利用して行動しなければならない.その主要道路までが遠く,しかも起伏がはげしい.病人にとってはそんな道を歩くのは苦痛であり,ついつい受診の機会を遅らせがちである.慢性患者は部落で数人集まってタクシーで相乗りをして来院しているというように,受診するために苦労をしている.このような格差を是正するために行政側はいろいろと手段を講じてきた.しかしこれまでの無医地区対策はあまり効果が上がっていなかった.患者輸送車を無医地区の町村に与えても,その運営費は補助されなかった.過疎地の弱体町村ではその費用が負担となって十分活用されない面があった.
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