視座
教育病院
天児 民和
1
1九州大学医学部整形外科学教室
pp.913
発行日 1968年11月25日
Published Date 1968/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903997
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私は6月医師法改正による医師免許証取得後の臨床修練病院の認定に関する委員会の1員に列することになつた.そして前後6回に亘る会議に出席して色々考えさせられることが多かつた.まず厚生省は終戦後米軍の占領下において厚生行政を推進してきた.これは後にオールマイティーの米軍の支持で,反対論も慎重論も聴くこともなく進めてきた.インターン制度もその1つである.それだけに厚生官僚が自らその必要を感じ立案して進めたものではないだけに,全く形式的なものになつてしまい,次に学生騒動の導火線になり,漸くこれを廃止することになつた.
その失敗に対する反省が厚生省にどの程度あるかどうかと私は思いながらこの会議に出席したが,厚生省側の発言を聞いていると,反省しているという言葉は出るが,あまり反省のあとは見えない.そしてここにまた新しく修練病院の認定を行なおうとするのに,その基準の判定は政治的色が強い.わが国には教育病院は大学病院以外にないと言つてもよい位である.長い間,日本では医師の教育は大学病院だけが行ない,その他の病院は教育とは無関係であるという考え方になつていた.インターン制度の失敗の原因もここにある.
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