病院管理の工夫
業務改善の工夫—特にコンピュータ化について
末武 保政
1
1十和田市立中央病院
pp.872-874
発行日 1981年10月1日
Published Date 1981/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207589
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院長として赴任した昭和51年,私たちの病院はどん底の中に呻吟していた(本誌第40巻第2号114頁参照).医師にさえ見離された病院の,建物も荒廃していたが,モラールの低下は目をおおうほどのものがあった.それは事務局ばかりでなく,看護部門も,パラメディカルも同じであった.中で給食だけが,劣悪な労働条件の中で,手づくりの心のこもった料理を出していたことが印象に残っている.
当院の起源は,昭和初頭の東北大凶作に当たり,産業組合法によって,昭和9年創立された組合立上北病院(約35床)であるが,戦後,厚生連傘下の病院となり,昭和33年,十和田市に買収され移管されたものである.しかしこの移管は,ただ看板が変わっただけのことで,組合病院時代からの自然発生的な機構もそのまま,旧職員と一緒に引き継がれたもののようであった.地域の中核病院として,38年に現地に新築移転したあとも同じことで,昭和40年代の日本の病院のめざましい近代化からは完全に取り残され,病院は,51年,約3億円の赤字を抱えて医局が崩壊四散するという破局を迎えるのである.
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