ケース・レポート コンピュータの導入と活用
東海大学病院におけるコンピュータ導入の現況
正津 晃
1
,
高橋 隆
2
1東海大学外科
2東海大学ME
pp.309-312
発行日 1981年4月1日
Published Date 1981/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207437
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従来,我が国の病院におけるコンピュータ利用は,医事課業務の自動化,省力化を目標にしたものが多かった.これは我が国に特有な診療報酬請求業務の複雑性を緩和しようとすることを主目的として生まれたものであり,その学問的意義はあまり大きいとは言えない.
一方,大学病院には病歴に,中検に,病理に,膨大な医学情報が蓄積されている.これをコンピュータに登録し,利用してこそ,大学病院として意義のあるコンピェータ利用であり,医療情報システムであると我々は考えている.従来,これらのデータは患者名をもとに整理されているのみで,横の連絡は全くといってよいほどなかった.疾患別に,病理組織別に症例を集めようとすれば,多大の人力と時間を要した,症状別に症例を集めることなど,不可能に近かった.古い大学では例えば胃癌の症例を調べるにしても,自分の属する教室の症例はまとめられても,他の教室あるいは他科の症例は,調べようもないのが実状であろう.大学病院の持っている情報のごく一部しか利用できず,しかもそれをまとめるのに多大の手間ひまがかかるのである.
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