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コンピューター断層撮影装置はCTあるいはCATスキャナーの総称名の口本語直訳で,その妥当性はともかくEMI-Scanner,ACTA-Scannerをはじめ10種類以上に及ぶ機種が続々と生みだされ,改良を加えられている.その優れた診断能は従来のX線写真より更に詳細なデでテイルと体軸に垂直な面での三次元的な表現があり,かつ被写体への被曝を含めて侵襲の少いこと,画像を必要に応じてコンピュータとの対話により変え診断に適する像が得られることなどの特微があり,世界中でブームを呼んでおり,日本もこの2~3年間に2,30台に及ぶ受注が予定され,ますます過熱状態にあるといえよう.
脳診断を中心とする頭部専用装置の一つであるEMI-Scannerはほぼ完成した装置であり,脳出血を陽性像とし脳栓塞を陰性像とする最も鑑別のむつかしく,かつ緊急処置の異なる疾患を見わけ得る点や脳腫瘍,水頭症,脳動静脈奇形,動脈瘤,頭部外傷の鑑別など血管造影や気脳法のようなある種の危険と患者の負担が少い点で救急検査,早期診断,サーベイとして偉力を発揮する点で,脳外科は勿論神経内科,精神科,小児科領域に広く応用されている.また眼科領域でも骨侵蝕に至る前に軟部である視神経,後眼部腫瘍の診断にも用いられる等,すでに受注は米国で250台,英国で27台,日本で35台といわれている.機種も上述ACTA-Scannerを含め,Siretom(シーメンス社),Neurological CAT(Arthronix社),CT-H250(日立メディコ社),CT/N(G. E社)など次次と作られ,ユスライスあたりの所要時間も4~5分を要したものを9秒(Arthronix)まで短縮したり,カラーディスプレイを併用するなどの工夫をされている.
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