実務のポイント 管理技法
病院実務管理ケース・スタディ・2
病院管理組織図の制定
井上 昌彦
1
1北里大学
pp.510-513
発行日 1979年6月1日
Published Date 1979/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206892
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ある時,病院職員の幹部研修のため専門家の講師をお願いして,数日間の集合訓練を行った.その時,打合せに来られた講師の方の最初のご要望は,"病院の管理組織図と病院の運営方針を示す最高管理規程のようなものがあれば,それを見せてほしい"ということであった,この講師の方は,事業体の管理監督者に対する研修の指導者としては,我が国でも有数の方であって,ご自分としては,初めての経験である,病院の職員を対象とする訓練を進めるのに当たって,まず,病院なるものの基本的な概念を得ておきたい,と思われたからである.
どこの会社であれ,工場であれ,事業体には,必ず,社内の業務の分担を定めた管理組織図,事業体の事業目的その他の基本的事項を定めた定款,そして,事業目的を達成するための具体的な業務の進め方について,勤務者全員に対して最高幹部が指示する経営方針,この,少なくとも3種類の事業運営の基本となる規程は,必ず文書によって全勤務員に示されて,勤務者はそれを熟知し,それに従って事業活動が行われているのである.したがって,これらの規程を見れば,その事業体及び勤務者の進もうとする方向が一目瞭然としている.病院職員の研修を依頼された外部からの講師としては,これらの資料によって,病院を承知した上で,指導を行わなければ,指導の内容が,病院の現実と遊離したピンボケ教育になってしまう.そうならないための講師の要望であったのである.
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