医療の周辺医療経済 医療経済・3
医療サービスによってもたらされた成果の効率性
前田 信雄
1
1国立公衆衛生院
pp.240-241
発行日 1979年3月1日
Published Date 1979/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206811
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効率の概念
一般に効率は,経済学では効果よりも多く使う概念になるが,ある一定量の投下サービス量に対するそのサービスのもたらした効果の比で表される.それは医療労働単位時間当たりの成果とか,成果1単位当たりの医療サービス費用で示されることが多い.換言すれば,1単位の投下サービス当たりの成果である.究極的には,医療サービスの目標達成度をそのサービスに要した経済量と対比させたものになろう.
従来から,効率は,「最も安上がりなサービス」につながる側面をもつ概念であった.これでいくと非専門職とか素人(付添婦制)でもって看護を行わせるのが最も効率的となりかねない.つまり,サービスという過程そのものを少ない費用で実現する,という発想が確かにあった.しかし,最近の医療経済の考えでは,過程ではなく,目標の達成度とサービスの対応を効率と考える方向が出てきている.一般の経済活動では,利潤とか生産そのものが目標となる.医療の場合は,何回も述べてきたように,患者または健康者の健康回復または維持増進が目標であって,「何人の患者を診る」というプロセス自体とか,医療活動の収益とかが目標ではない.ある目標達成に可能で相対的に最も経済的な方法を見付けようというのが,医療における効率性の使い方である.
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