読者の声
不自由な方のための自助具展をひらいて
稲垣 喜久子
1
1岡山大学三朝分院病棟
pp.179
発行日 1979年2月1日
Published Date 1979/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206794
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山峡の小さな温泉町にある,主にRA疾患を対象としている岡山大学の分院に勤務しています.70床,1看護単位,RA疾患約75%,一般内科,外科,血管外科,産婦人科と小規模ながらも,多種多様.ご多聞にもれず老人患者50%,非常時担送患者30%,ADL動作要介助者50%という数字で,身体の不自由な患者と,毎日を心忙しく過しています.太陽の恵み少ない山陰の山の中で,症状の目立った好転もなく,毎日毎日を,それでも,少しでもよくなりたいと,がんばっている患者さんたちを見ていると,私たちも,職業と家庭の両立は難しい等と嘆いて,マンネリズムに浸ってばかりはいられない,と昨年は少し頑張ってみました.
名付けて「不自由な方々のための自助具展」.約半年間の準備期間を持ち,ようやく10月17日からの4日間,院内で開催しました.ゴルフの穴あきボールを使ったペンホルダー,コマ付バケツ,木製の蛇口まわし,入浴用タオル,マジックベスト,セパレーツ式和服,着やすい外出着等々,小物を入れると,展示品は,120点に及びました.日頃,私どもが勤務しながら思いついたこと,聞いたこと見たこと,逆に患者さんに教えていただいたことなどをまとめ,市販品を買って手を加えたり,あちこちから便利なものを借りて来たりしました.夜なべ仕事で縫ってくる人,旅行の汽車の中で,回し編みをしてショールを仕上げてくるグループ等々,人それぞれ,隠れた才能を持っているものです.
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