ほんねたてまえ
職員のための病院/「患者のために」とは
K
pp.178-179
発行日 1979年2月1日
Published Date 1979/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206793
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どこの医大でも看護学校でも,入学試験の際には,「なぜ医師の道を選んだか」とか「なぜ看護婦になりたいのか」という作文なり口頭試問をやっているはずである.答は決まって「親戚○○の死(病気)をみて何とかできる人間になりたかったから」とか「病める人たちのために役立ちたいから」というきまり文句が返ってくる.受験勉強しかしていない少年少女にとって,ほかに答える知識がないためでもあろうか.受かりたいために心にもないウソをついているわけではなく,少なくも一部は本心であろう.
医師,看護婦に限らず,医療に従事する職員はすべて,世の中のため,患者のために自分は献身していると思っているであろうし,真面目な専門職として,より良い高い知識と技術を身につけようと日夜努力しているわけである.「患者のために」は病院の中ではまさに錦の御旗である.「金がないから」「赤字だから」などといって彼等の要求を削ったり認めない経営者,管理者は,血の通わぬ非人間か,金に魂を売った悪魔のように罵倒される.
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