精神医療の模索・6 長期在院と社会復帰
長期在院の現実と民間病院の機能
竹村 堅次
1
1昭和大学附属烏山病院
pp.503-505
発行日 1978年6月1日
Published Date 1978/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206574
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
今や精神病院在院者の長期化の傾向は決定的である.早期発見,入院防止,入院なら早期退院,在宅ケアという一連の新しい治療体系が明確化しつつある時に,なぜ長期在院者が漸増するのか.考えてみれば不思議なことである.表題に沿って長期在院患者のリハビリテーション(以下リハ)を考えるには,少しく歴史的観察が必要と思う.
第二次世界大戦後,わが国の精神衛生対策がしばしの虚脱,混迷の時期を経て,ひとまず放置患者の収容に向かったのは周知の事実である.昭和27年全国の精神病床数26,890床,同32年66,365床(2倍半),それ以後も病床は増え続け,30年代はいわゆる精神病院ブームの時代を現出した.この時期は,長期在院者の問題はあまり目立たなかった.なぜならば,急速に増加した病床数のために,長期入院は増加した(とくに分裂病が増加した)にもかかわらず,その比率はそれほど上昇しなかったからである.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.