新病院建築・6
聖隷浜松病院のNICU—設計・設備の面を中心にして
柴田 隆
1
,
高橋 知子
2
,
山本 敏博
4
,
大塚 暢
4
,
小川 次郎
2,3
,
中山 耕作
4
1聖隷浜松病院・小児科
2聖隷浜松病院・未熟児センター
3名古屋市立大学
4聖隷浜松病院
pp.497-502
発行日 1978年6月1日
Published Date 1978/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206573
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はじめに
近年の胎児・新生児に関する生理・病態生理学は著明な進歩を見ている.加えて,医療技術・看護技術の向上,医療設備・医療機器の進歩,改善により,病的新生児,ことに低出生体重児の医療は大きく変貌した.と同時に,これらの重篤な新生児,中でも極小低出生体重児(生下時体重1,500g以下)の予後は,新生児期の死亡のみならず後障害発症の面からも飛躍的な改善をみていることは,欧米およびわが国の文献からも明らかにされている.欧米においては,ここ10年来,最新の進歩した新生児専用の各種の医療機器,十分にtrainingされた新生児専門の医師,看護婦,パラメディカルのスタッフを配した新生児集中強化治療施設(NICU)を中心として,ある一定の地域のすべての重症新生児・低出生体重児を,完備されたこのNICUで最善の治療を行うための輸送体制,情報センターのシステム,すなわち新生児医療のregionalizationが確立されて,多大の成果が挙げられている.
ひるがえってわが国の現状をみると,厚生省心身障害研究報告書にみられるように,完備されたNICUは皆無にひとしく,わずかの施設において,そこに働く医療従事者の熱意と献身的な努力によって,重症新生児(含低出生体重児)に対する医療が支えられているにすぎない.
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