新病院建築・4 静岡県立こども病院
静岡県立こども病院考
中村 孝
1
1静岡県立こども病院
pp.321-323
発行日 1978年4月1日
Published Date 1978/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206515
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小児の医学を志すものにとって,小児病院は一つの夢である.小児に最も適した環境において,小児に関するすべての科の専門医たちが集まり,チームを作り,研究し,絶えず討論を行いながら治療をすすめてゆく.それが小児の医療の理想像であろう.
欧米の小児病院の起源は古い.1802年パリで,1852年ロンドンで,1855年フィラデルフィアで,未だ小児科という分野がなく,小児科医もいない状態で小児病院がはじまっている.これは,こどもはこども部屋でという欧米の生活習慣からはじまっているのだろうが,病院の起源も行路病者を集めて看護を行った修道院からはじまっているので,欧米では病院は収容,看護が第一義であったのであろう.私が静岡県立こども病院の建設委員長をお引き受けしたとき,こども病院の中心を病棟部分におこうと考えたのは,こどもたちの生活があって,それに医療を加えるのが病院であると思ったからである.
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