当直医日誌
冬の一夜—自信と不安
福井 次矢
1
1聖路加国際病院・内科
pp.49
発行日 1977年10月1日
Published Date 1977/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206353
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11月○日水曜日晴れ
窓の外はもう冷たい風に,街路樹は裸になっているようだ.夏からの先輩レジデントの指導のもと,ようやく1人当直をまかされるようになり,はや10数回目になる.自信と不安の複雑な気持で今夜の当直も始まる.
さっそく電話が鳴り,胃潰瘍の既往ある69歳男性が洗面器半分くらいの血を吐いたという.救急車にて来院.結膜は貧血様で脈拍は86,血圧122/84.入院させN-Gチューブを挿入すると新鮮血が引ける.血算ではヘモグロビン9.0g/dl,ヘマトクリット27.0%.吐血直後であることを考えると,実際はもっと低値とみなさなければならない.いっもお世話になる血液銀行のTさんに連絡をとり,血液を確保.保存血輸血600mlと輸液1,000mlを明朝までに行うこととする.
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