おかしな検査データ
肺炎双球菌のBroth培養後(一夜)の生菌数減少について
菅原 和行
1
,
餅田 親子
1
,
林 愛
1
,
能田 一夫
1
1長崎大学医学部附属病院検査部細菌室
pp.1115-1118
発行日 1982年12月1日
Published Date 1982/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202660
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MIC-2000システムを用いたミクロブイヨン希釈法および寒天平板希釈法などによるMIC値測定に際して,肺炎双球菌を増菌する場合,一夜もしくは長時間好気的に振盪培養後,培養液の濁度を指標に菌量推定を行い,接種用希釈菌液(107〜108cells/mlが必要)を調整しMICを測定すると,翌朝菌の発育をみなかったりもしくは生菌数が著しく減少し,MIC測定ができないことがしばしば経験される.さらには,肺炎双球菌を液体培地にて培養中,いったん菌の増殖によって強い混濁が認められた培養液が培養途中で急速に清澄化するなど,肺炎双球菌のブイヨン培養は興味ある幾多の現象を秘めているため,培養液の濁度のみから定量的に生菌数を調整し,MIC値を測定することは困難である.したがって,この肺炎双球菌の培養経過中における死滅現象および自己溶解現象が何に起因するものかを解明すべく.培養液のpHに焦点をしぼり若干の検討を試みた結呆,2,3の知見を得たので報告する.
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