私的病院運営のポイント
私的病院と大学医局—その現況と今後の方向
中野 進
1
1四条外科病院
pp.81-83
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206289
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先年の「医学部紛争」において,"造反学生"の主要攻撃目標にあげられたものに"大学医局制"がある.彼らはいろいろの意味あいをこめて『医局解体』を叫んだ.
たしかに大学の医局には講座制百年の"垢"=大学病院を中心とするヒエラルキーがこびりついている.が,ちょっと視点をかえて"医局"をみれば,そこは単なる"医師のたまり場"にすぎない.そこで,広辞苑を参照すると,『医局:医務を扱う室,または病院などで医師が詰めている室』という.一般の人々のとらえる"医局像"はそれで事足りるであろうが,われわれ医師にとってこの医局での生活は個人史の中で大きな位置を占めており,また医師として生きていく上でも種々の関係をもつ対象であるから,今少し明確に認識しておく必要がある.しかし,実際には"医局の実像"はまだはっきりした映像となってわれわれの前に浮び上ってはいない.個個人の私的体験とある種の教室の歴史的習慣とをミックスさせたものが順おくりに受けつがれてきていると言ってもよい.
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