レポート【投稿】
大学医局について(2)
島内 武文
1
,
車田 松三郎
2
1東北大学・病院管理学
2東北大学病院管理学教室
pp.89-96
発行日 1970年4月1日
Published Date 1970/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203939
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医師の人事が大学医局中心であったこと
昭和33年に東北大学病院管理学教室で全国の病院について抽出調査を行なったところでは(島内・一条・前田:病院の人事と給与,医学書院,改版中),病院医師の81.3%は教育機関医局より採用され,他病院から7.6%,診療所から1.4%,その他9.7%にすぎない.しかしてその勤務する病院への紹介も,大学医局73.4%,知人友人15.4%,紹介なし5.9%,親族など3.4%,その他1.9%で,ことに社会保険病院89.2%,で,都道府県立病院で85.6%が大学医局の紹介の医師であった.
病院の院長の重要な任務は医局の編成である.病院を発展させ,よい医療を用意するためには,すぐれた医師をそろえ,欠員を補充することにたいへんな努力を必要とする.それには自分の出身医局か出身大学の該当医局に依存することとなる.医師のように需要に比して供給が少なくて不足がちな職種は,これを一般に求めても得がたいし,ことに人物や能力が重視される専門職については,性格や成績に明らかな教育機関の医局,ことに教授に推薦を求めることが適当している.ことに大学医局には種々の段階の研修をなしつつ研究に従事する医師が多数勉強しているので,いっそう都合がよいことになる.
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