読者の声
看護管理は武士道か—大谷昌美の婦長論
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pp.42
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206274
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偶然,病院(第36巻第5号)の大谷昌美の巻頭論文だけを読んだ.第一に,編集部がこの論文を巻頭においたことに注目させられた.そして,アンダーラインをひきながら読んで行ったが,真に楽しく,わかりがよく,教示深いものであった.どこ一つ省略すべき点もないと思ったし,しかも,一部の考え方を述べられたものとも思った.わかりがよいということは一見,平凡なものになろう.『真の思想家とは「一見,自明な平凡なもの」に見える』ということで,マルクスもカネッティもそういう人にあたると着田行一が書いていたが,この論文を読んで岩田の言葉を思い出した.
看護管理の技術と看護婦同志の人間関係についての問題を特に述べていられると思ったが,この二つをはっきりと区別しておられるのかどうか,その点が疑問として残った.「学習の終極の目的は自己啓発であり」というところの「自己啓発」の中に何か倫理も含めて言っていられるように感じたのは私の間違いであろうか.技術と倫理,科学と倫理の区別,これについて,マルローの言葉を申し上げたい.
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