天地人
武士の情
天
pp.169
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217607
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「武士は食わねど高揚子」とか「武士は相身たがい」というのは意味も解るし,なぜかということも解る.「武士の情」はしばしば使われ,意味は解るが,なぜ「武士の」なのかとなると難しい.
お腹が減っていても,満腹のふりをするのだから,武士は本音よりも建前を重視したのであろう.建前論からは許せない.それを許してやるのは,余程の情だというのが,「武士の」の意味なのだろうか.はたまた,武士は剛毅を建前としているが,もののあわれを知らなければまことの武士ではない.だから立派な武士には情愛があるはずで,そのような情の発露を「武士の情」というのだろうか.
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