追悼
大谷吉秀先生追悼
細川 治
1
1福井県立病院外科
pp.1998
発行日 2008年12月25日
Published Date 2008/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101551
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南国の大雪やゲリラ豪雨など,近ごろは極端な天候であることを感じることが多い.それにしても今年の夏は暑く,長く思われた.その夏を越えることなく,大谷吉秀先生は他界された.
この数年病魔と闘っていることは,人を介して聞いていた.そのために学会活動も少なくされ,「胃と腸」の編集幹事も欠席が続くことに対する責任感から身を引かれたが,消化管画像診断に対する情熱は失われておらず,編集委員を続けられていた.身体の具合がそんなに差し迫ったものであったことを知らず,ご逝去の報に接して言葉もなかった.1年前の日本消化器外科学会時の残胃癌に関するシンポジウムの司会,教育集会でのGIST(gastrointestinal stromal tumor)に関する講演では,相変わらず切れ味のよい話しぶりであったことを参加者から聞き,回復力の強さに安堵して,無理をせずに全国の若い外科医師の指導を続けてほしいと感じたことを思い出した.それにしても,あまりに早く,あまりに若い逝去である.1957年の生まれと伺っており,享年は51歳.研鑽に裏打ちされた知恵と技術でたくさんの患者さんに治癒や延命をもたらしながら,当人は早々に旅立たれてしまった.
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