医療への提言・12
医療サービスの技術料について
水野 肇
pp.53-56
発行日 1977年6月1日
Published Date 1977/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206250
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硬直化した点数単価方式と東洋的ドンブリ勘定
日本の医療を考えるうえで,きわめて重要なのだが,非常にむずかしい問題に「医療サービスの技術料」がある.日本では,形のないものの評価は,一部のものを除いてきわめて低い.形のあるもの,見えるものの評価は,この10年ぐらい,割り合いにはっきりした形で評価され,それも定着しはじめている.しかし,医師の技術料のようなものは,少なくとも弁護士などにくらべて非常に低い評価しか与えられていない.これは,医師は戦前には,自分で自分の技術料を評価して値段をつけたのに反して,戦後の医療の社会化が進み,ほとんどの医師が健康保険の患者しか診療しなくなって,健康保険で決められた価格表(点数表)によってしか評価されなくなったのに反して,弁護士は,いぜんとして自分で弁護料を決定していることの差だといってもいいだろう.
現在の医療費は周知のように,「点数単価方式」という非常に複雑な仕組みで決められている,すべての疾病(実際には組み合わせを入れると三万種類ぐらいにもなる)について,一応の治療指針を決め,それを点数で表示している.実際の医療費は,その点数に一点単価10円を掛けた数値となっている.こうしてできた数値が,一応医療サービス料金ということになるのだが,これをめぐって,いつも問題がおきているのもご存知のとおりである.
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