連載 看護関係の心理・7
がまん料・忍耐料は?
小此木 啓吾
1
1慶応義塾大学医学部
pp.878-882
発行日 1973年7月1日
Published Date 1973/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916702
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なぜ,あんなにおこったのか?
B子さん(29歳)が,Ⅰ病棟からⅡ病棟に転棟になった.ところが,その直後にトラブルが発生した,B子さんのチリ箱が,Ⅱ病棟に届かなかったのである.B子さんがさんざん文句を言った結果,A看護婦さんが引っ越しの時預かったまま,Ⅰ病棟の看護室に置いてあることがわかった.その時はそれで済んだのだが,それから1週間ばかりして,A看護婦が当直になった.消燈時間に,Ⅰ病棟を巡回していてB子さんに出会うや,B子さんは罵倒(ぼとう)し,くってかかった.‘何よ,看護婦のくせに,無責任ね,それでいて,平気な顔して人の前なんか通って!!あやまったらどうなのよ.あんたみたいな看護婦がいるから,患者の人権が無視されるんだ’
A看護婦はびっくりしたが‘すいませんでしたね.あの時は,あとで届けるつもりが遅くなっちゃって……’とあやまったが,B子さんは言いつのるばかり。ほかの患者さんも寝るどこではない.とうとうもうひとりの当直の看護婦も駆けつけて,なんとかその場はおさまったが,そのあとしばらくして,このB子さん(ヒステリー)とA看護婦のことが,看護スーパー・ビジョンで,看護婦さんから提出された.
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