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—時実 利彦 著—「生命の尊厳を求めて」/—ホルスト・E・リヒター 著,鈴木謙三 訳—「病める家族家庭をめぐる神経症の症例と治療」
吉岡 観八
1
1新千里病院
pp.62-63
発行日 1976年10月1日
Published Date 1976/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206044
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脳生理学の立場から生命の意義を解く
著者は本書で,脳生理学を繰り返し解説され,生命の機構を明らかにし,物質としての生命の木質にふれ,さらに人間の精神と身体の接点にまで論議を進めている.また実証面からは人間性を探求し,生命の尊厳性に迫っている.私はこれらの点につき感銘を受けると共に深甚の敬意を表したい.卒直にいって,さらに分子生物学,ホルモンならびに酵素化学を克明に導入したならば,脳,神経系の木質的機構ならびに驚嘆すべき生命のしくみが一層明確に把握され,生命の尊厳性がさらに理解されるであろう.しかし,これらのことによって生命の仕組みがすべて解明されるものではなく,人間学研究のようやく原点に立つことができたということではなかろうか.
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