一頁評論
老人福祉について思う
中島 さつき
1
1兵庫医科大学医療社会福祉部
pp.65
発行日 1976年1月1日
Published Date 1976/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205802
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いままでの社会は老人に対し冷淡であった.年をとるということは,醜くなる,使いものにならなくなる,老いの坂道を下りつつあることである.やがて土に帰っていく日もそう遠くない人間に,医療やリハビリテーションといってみたところで無駄である,といった考え方が強かった.直接生産に寄与せず,消費するだけの老人に対する施策や施設などは,必要ないと放置されていた.
しかし,20世紀後半は宇宙時代と老人時代であるといわれるようになり,日本においても老人問題が大きく注目されるようになってきた.医学の進歩や生活の向上で死亡率が低下して寿命がのび,老人が増加し,出生率の低下により,老人人口の占める率が高くなった.昭和49年度簡易生命表によると,日本人の平均寿命(零歳時の平均寿命)は,男71.2年,女76.3年となった.今世紀の終りごろには,5人に1人は老人という事態になる.
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