英国で学んだ病院管理・6
人材確保と職員教育
関 武矩
1
1聖路加国際病院秘書課
pp.70-71
発行日 1974年6月1日
Published Date 1974/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205376
- 有料閲覧
- 文献概要
平均動続年数はわずか2年
英国の病院における医師・看護婦の需給関係の苦しさについては前に述べたとおりであるが,パラメディカルやノン・プロフェッションの職種,あるいは現業部門についても,その人材確保にはそれぞれ悩みが多い.ことに大都市ロンドンにおいては,病院勤務者の勤続年数が,平均2年ときかされて驚いたものだ.
なぜこのように平均勤続年数が短いのか,その理由の第1は,他の一般企業に比べて賃金が低いこと,第2に,仕事に対する満足度が少ないためという分析がなされていて,保健省を狼狽させている.わが国でも同じことなのだが,病院という事業は常に患者サービス主義であり,営利を目的としないから,仕事そのものも地味であり,民間企業の賃金水準におくれをとって,魅力がうすい.いずれの病院も人事部では始終,雑誌や新聞の広告を利用して求人を行なっており,たえず中間採用をくり返しながら不足人員の補充に力を注いでいる.それでも,なおかつ補充が思うようにゆかない場合が多く,市中にあるマン・パワー事業会社から,25%も高い賃金を支払って人材を求めるケースも少なくない.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.