研究と報告【投稿】
病院外来部の適正診療の限界
左奈田 幸夫
1
,
長谷川 勲
1
,
羽根田 周蔵
1
1国立埼玉病院
pp.83-86
発行日 1973年12月1日
Published Date 1973/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205193
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はじめに
私はかねて医師の仕事,診療というものは一般社会にいわれる能率向上,すなわち生産性向上というように,忙しければ忙しいほどうまくやれば仕事の能率が質を落さずできるものかということに疑問をもつものである.また病院における外来診療というものは,病院機能全体を活動させるために必要な部門であるが,医療の質と量を十分発揮させるための最大効率的な力の入れ方は何%くらいがよいかを考えていた.
ところが昭和46年7月保険医辞退ということが起こり,公的性格をもつ病院は,その地域において保安要員的責務を果たしながら,その多忙さに疲労し,医療の質的低下をきたし,かつその収入においてもそれほどの増収はなかったといわれる.一方患者側からは長時間待たされ,高い慣行料金で支払い,かつ大阪府の調査では病気になっても医師にかからなかった170名中22%は総辞退が片づくまで医者にかかっていない.
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