病院職員のための医学知識・5
ここまできた検査の自動化
高原 喜八郎
1
1日本専売公社東京病院検査科
pp.74-76
発行日 1973年5月1日
Published Date 1973/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204997
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最近臨床検査の自動化ということばがすっかり定着してきているようです.この自動化の目的はどこにあるのですか.
ひとくちに自動化と申しますが,製品を作り出す生産工場から臨床検査室の現場まで,種々の自動化の姿があります.そして分野が異なれば自動化の目的もそれぞれ異なるでしょうし,また共通点もあるでしょう.ここで臨床検査(以下単に検査)は最終的には病人の診療と人類の健康のためという至上目的に基づいて,主治医の診療のタイミングにまにあうよう迅速に成績を出さねばならない点が,単なる生産工場の自動化とは異なるものであることを強調しておきましょう.いずれの自動化においてもその利点は
(1)大量生産性によるコストダウンと迅速化 (2)品質(データ)の均一性と優秀性 (3)人件費の縮小化の3点があげられます.これは検査の自動化にもそのままあてはまります.たとえば,ここに12種目の検査を依頼された血液が100人分ある場合,この作業を全部ピペットさばきによる人手で行なえば,8-12人の検査技師が午前9時から午後3時過ぎまでワキ見もせず一心不乱に精力を集中してやっと成績が出てくるのですが,その成績には写しまちがいや計算違いが0.1-1%の割合で混入されるのが宿命でしたし,またその成績の精度(バラツキ)も,疲労のために5-10%の変動幅が余儀なくされておりました.
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