今月の表紙
尿検査自動化
巽 典之
1
1大阪市立大学医学部臨床検査医学
pp.360
発行日 1997年4月1日
Published Date 1997/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903030
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日本列島は地震でガタガタ,政治はドタバタ,医療政策は高齢者人口の増加でフラフラし,これに揺り動かされる検査の進歩はモタモタしている現状にある.検査のシステム化,自動化も1つのピークを迎えた今,各企業が探し求めているのは“一定の市場需要が見込めて,しかも臨床的意義の高い新しい検査”であろう.それを受けて開発競争になっている代表的なものの1つがDNA分析であり,それは細菌検査から血液細胞分析へと流れている.
隠れたニュートレンドとしては尿検査の自動化システムがある.以前の尿検査は試験紙検査が主流であり,顕微鏡的沈渣分析は“再現性の不確かさ”から臨床医の信頼に十分応えきれないものであった.そこで,精密性と迅速性を求め,それまで不可能と考えられていた尿沈渣解析の自動化を求めた機器の開発が開始された.最初は顕微鏡的方法を踏襲したパターン認識機としてフローセル下で細胞形態をコンピュータ解析するものであり,現在2社から発売されて,図左がその一機種の分析結果ディスプレイである.画像分析方式は,細胞像のスキャニングに時間がかかり,結果として処理速度が遅くなる.このことから蛍光フローサイトメトリーで沈渣を解析しようとして完成されたのが図右に示してあり,1分で精密測定できる.これでもって数的・質的分析をし,病的細胞の存在が光学的に疑われる検体を顕微鏡で再検査する方法が勧められる.
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